聖の青春(日本/2016/監督森義隆)

lysis2016-12-16

幼少期から難病を患う村山聖は、入退院を繰り返す中で将棋と出会い、15歳で森信雄に師事する。10年後、名人になる夢をかなえるべく上京した聖(松山ケンイチ)は周囲に支えられながら将棋に全力を注ぎ、七段に昇段したころ、同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治に激しいライバル心を抱く。さらに将棋に没頭する聖だったが、がんが彼の体をむしばんでおり……。
(シネマトウディより)

角川シネマにて。

松山ケンイチが素晴らしかったですね。もちろん脇を固めるキャストもよかったのですが、「村山聖」という一人の青年の生涯に惚れ込み、その想いを伝えたいという彼の役者魂が画面を最初から最後まで引っ張っていたように思う。

“青春”というと、どこか眩しい、キラキラとした甘酸っぱい思い出を連想するかもしれない。でもここにはそういった感傷は一切なく、ささやかな日常の先にある小さな幸せがあるだけだ。しかしそれもやがて失われていく、(陳腐な言い回しだけど)現実の容赦なさ・儚さに胸が痛かった。

原作では説明的だった村山くんの人間的な魅力というのもよく伝わってくる内容でしたね。激しいライバル心を燃やす羽生さんに二人で飲まないかと誘うときの、まるで初恋にも似た、はにかんだ笑顔を見た瞬間、彼の人間臭い一面に触れたようで、画面を通して彼の息吹を感じる瞬間でもあった。

いい映画でした。