麻美ゆまインタビュー / 「職業上、言われても仕方ない立場だとも思ったけど、でもそこは闘っていかないと、と」

lysis2013-11-12

週プレより。
http://wpb-saveearth.shueisha.co.jp/sp/asami.html

不幸自慢は嫌いだけど、不幸と不運は個人の事情とはお構いなしにやってくるものだ。

麻美ゆまが難病にかかり闘病していることは知っていたけど、これほどのものだったとは。思わず電車で涙目に…webで読み直して泣きました。一度でも病気で苦労したことがある人は感じいるものがあるはず。

以下、印象に残った個所を抜粋します。

本誌読者にはおなじみ、「ゆまチン」の愛称で親しまれているアイドルAV女優、麻美ゆま。テレビに映画に歌に、幅広く活躍していた彼女だが、今年2月、突然活動を休止。その理由についてさまざまな臆測が飛び交うなか、6月に自らの病状をツイッターで告白したことはご存じの方も多いはず。彼女を襲ったのは「卵巣境界悪性腫瘍」という病気。子宮と卵巣を全摘し、計6回の抗がん剤治療を終えたばかりの彼女が今、世の男性に伝えたいこととは?

  • ごめんなさい、さらにつらい話をお聞きしますね。卵巣の腫瘍はセックスとは因果関係がないと医学的にいわれていますが、ゆまちゃんの病気をセックスと結びつける声をネットなどでたくさん見ました。本人の目に入る機会はありましたか?
  • 「セックスのやりすぎだろ!」って声ですよね? ああ〜、もうそれはたくさんありましたよ! 職業上、言われても仕方ない立場だとも思ったけど、でもそこは闘っていかないと、と思いました。
  • しかし、ここまでオープンに自分をさらけ出せるゆまちゃんは本当に強いなあと思います。でも、みんなから「強い」って言われるのってどんな感じですか?
  • 自分では全然「強い」と思ってないですよ! 泣き虫だし! でも、今は治療すること、闘うことが自分の仕事、自分の役割なのでそれをお見せしている感じです。(中略)今、この状態は「経過」なので。
  • 特に男性に伝えたいことは?
  • 男性には少しでもこういう病気に関しての知識を持ってもらえたらいいなと思います、それは私だけじゃなくて女性全員のために。女性には子宮と卵巣の病気ってあるんだなと。そんなAV女優がいたな程度でいいので、どこか頭の片隅にあったらうれしいです。

恵比寿マスカッツなどで見せるちょっぴり姉御肌で明るいキャラクターままの言葉の裏に透けて見える、達観した口調、とくに「闘うことが(今の)自分の仕事」と言い切ったところと「そんなAV女優がいたな程度でいいので、どこか頭の片隅にあったらうれしいです。」の一言に言葉の重みを感じました。
しかしモノクロの写真のかんじといい、どことなく永沢光雄*1『AV女優』を彷彿とさせるものがありますね。あ、ちなみに『AV女優』は全然エロさ・卑猥さゼロのインタビュー集ですから。むしろ個々にかかえる現実が世知辛すぎて泣けてくる(けどお涙頂戴になっていない)名作です*2

彼女の”これから”を応援したいと同時に”いま”を伝えたい。

「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」インタビュー

lysis2013-02-06

ナタリーより。
http://natalie.mu/music/pp/yanoakiko

  • 清志郎さんが亡くなってからまだ3年半ほどですが、制作にあたって特別な思い入れや感傷もありましたか?
  • そういうのは全然ないですね。別にトリビュートアルバムじゃないし。私のアルバムですから。私が彼の歌を歌ったらこうなったっていうだけですね。

矢野さん、しばらく離れていたけど、やっぱりこの人のモノづくりに対するスタンスが好きですね。自分に厳しくて苦労したことを隠さずにさらっと言っちゃうところとか、努力に支えられた確固たる自信がある。また慈悲深くてね…カバーするものに対して愛と志があるところも尊敬しますね。

  • じゃあ例えば清志郎さんがご存命でも……。
  • そうそう。生きててもやってると思います。やっぱりね、彼の歌う姿勢が好きなので。彼は「愛しあってるかい?」って言うけどあれはファッションでなく、みんなが「イエーイ!」って言うためのものではなく、本当に本当に、みんなに愛しあってほしいと思って言ってるわけですよね。

久しぶりにちょっとうるっとしてしまった。忌野清志郎についてほとんど知識がないんだけど、彼の音楽性の本質をついた一言だと思う。

キリンジ / 自棄っぱちオプティミスト(from『DODECAGON』)

lysis2012-07-07


世界観とタイトルがすごく好きでキリンジ兄ベスト10に入る名曲。気が付くとよく口ずさんでいます。

この街の景色をもっと 
君が愛したのなら世界は変わる

マン・レイの言葉で「芸術に進歩などない。人間のさまざまな行為の裏通りには、無限の多様性があるのだ。」とあるように、自分を自由にできるのは自分しかいない。幸福はすごく主観的なもので、個人が感じ取るものなんですよね。だからなるべくポジティブに物事をとらえたいと思っているし、自分が腐った瞬間から自分に負ける。
微妙な言い回しの違いだけど、”もっと”が愛にかからずに”君”にかかっているところに視野の広さと言葉の広がりを感じさせる。→ASIN:B000IFRWJE

大山卓也インタビュー

lysis2011-02-16

二人座談会のような雰囲気の中で気になった言葉を抜粋。赤字は感銘を受けた言葉です。結果、大山さんの人となりに興味が湧き、自分は'どこ'で'何'を表現したいのかが見えてきました。

「お前の目玉は節穴か/第1回「ナタリー」編集長、大山卓也インタビュー」http://webmagazine.gentosha.co.jp/fusianasan/vol239_index.html

  • そうですよね。もう単純に、どうして毎日やれたんだろう? って疑問なんです。
  • 大山:毎日更新するって言って始めちゃったから。それが全てだと思う。だから太陽君がクリエイトークを全然更新してないのが歯がゆいんだよね。当時の自分を見てるようで。
  • やっぱり自分でやってみて、その難しさってすごく感じるんです。
  • 大山:でもミュージックマシーンはひたすら頭を空っぽにしてニュースを並べていくっていうスタイルでやってたから。だから続いたのかなとは思います。形が決まってるから迷わず更新できるっていうのが大きいですよね。もしそれが自分の中から湧き出る想いとか思想をアウトプットしていくスタイルだったら、僕にはできなかったと思う。
  • インタビューは楽しいですけど、自分から進んで書いて伝えたいことってなんだろう? って最近思うようになってきました。
  • 大山 うん、僕も書きたいことなんてないんだよ。だからこそライターさんの文章ってすごいと思う。それはデザイナーでもカメラマンでもアーティストに対しても同じで、そういうクリエイティブな人たちをリスペクトする気持ちが人一倍強い気はするんです。
  • 書けるようになりたいとは思いませんか?
  • 大山:役割分担だからね、書ける人が書けばいいと思ってます。僕はアーティストじゃないっていうのはそういうことで、本当に裏方の人間なんですよ。
  • ウェブでインタビュー記事を見て、その写真が今時バンドマンでもやらないようなモヒカンだったのではっきり覚えてるんです。なんであんなことになったんですか?
  • 大山:なんでだったかな。たぶんあの頃気持ちが殺伐としてたんだと思うんですけど。ちょうどその時期に取材の申し込みが来て。「ITベンチャー社長に聞く」みたいなシリーズでのオファーだったので、他にどんな人が出てるのかなってバックナンバーを見ると、いいとこのボンボンみたいな人たちが並んでるわけですよ。みんな育ちが良さそうで、いけ好かないなぁと(笑)。この中に同類として並ぶのは嫌だなぁと思ってて。
  • ナターシャを立ち上げてからも実質1年くらいは編プロ状態だったんですよね。食っていくにはなんとかなるもんですか?
  • 大山:なんとかなってなかったよ。給料8万円だったし(笑)。しかもフリーの時はそれなりに稼いでたから、会社作って貧乏になったわーと思ってた。自分も会社もお金がなくて、先も見えないパッとしない時期で、貧乏は人を弱気にさせるんだっていうのを知った。今でも津田くんに「あの頃の卓也は本当に弱気で、麻雀やっても弱かった」って言われるし。会社が上向き始めてから麻雀も勝てるようになったけど(笑)。

Shipbuilding

Shipbuilding (Elvis Costello & Clive Langer)
Is it worth it?
A new winter coat and shoes for the wife
And a bycicle on the boy's birthday
It's just a rumour that was spread around town
By the women and children
Soon we'll be shipbuilding
Well I ask you
The boy said Dad they're going to take me to task
But I'll back by Christmas
It's just a rumour that was spread around town
Somebody said that someone got filled in
For saying that people that killed in
The result of the shipbuilding
With all the will in the world
Diving for dear life
When we could be diving for pearls
It's just a rumour that was spread around town
A telegram or a picture postcard
Within weeks they'll be re-opening the shipyard
And notifying the next of kin once again
It's all we're skilled in
We will be shipbuilding
With all the will in the world
Diving for dear life
When we could be diving for pearls

という訳で、フォークランド紛争反戦歌であるロバート・ワイアットの「シップビルディング」。これは強烈な印象を残す忘れ難い名曲のひとつだ。クライヴ・ランガーの曲にエルヴィス・コステロが歌詞をつけているのだが、このコステロの歌詞もすばらしい。
戦争が起きれば、造船が盛んになり、職にありつくことができる。家族にプレゼントだってできる。だが、作られるのは要するに軍艦であり、造船の結果、人が死ぬことになる。そう指摘したら殴られてしまった人もいたらしい…。こうしたすべてが街の噂として語られるのだ。みんな良い人のつもりなのに、わが身を守るためにじっと身を潜めている。閉塞した時代の不穏感。

電報や絵葉書で広がっている街の噂にすぎないけど、
もうすぐ造船所が再開され、
遺族への通知も届き始めるんだって
またか
我々にできるのは造船だけだろうか

ワイアットは彼特有の高いキーによる不安定さを湛えた声で、淡々と歌っていく。そのなかから立ち現れてくる複雑な心境。不安感。単なる威勢の良い戦争反対ソングではない。だが、このような複雑さのなかからこそ戦争に抗う論理を立ち上げていくことが必要なのだ。
http://d.hatena.ne.jp/chem-duck/20041019#p3より抜粋)

10人いたら、10人の心に残るような音楽

lysis2009-03-05

昨日雨降るタワー新宿にて持ち帰ったbounceより。

僕は、曲の中には必ず「真実」があると思っていて、絶対にそれぞれの曲がいくべき方向っていうのがあるはずなんです。その真実を見逃さずに曲の中に閉じ込めれば、多少イタズラや冒険をしても人の心に残るような音楽に仕上がる。(中略)10人のうち、1人に分かってもらえればいいっていう考え方もあるけど、僕は10人いたら、10人の心に残るような音楽をつくりたい。多くの人に聴いてもらいながら、ひとりひとりにしっかりと語りかける。そんなラジオみたいな音楽が理想ですね。僕の中で、FMカメダはまだ続いているんです。
bounce307(P26)「FMカメダ。」(亀田誠治インタビュー)

愛があって力強い宣言だ。とくに中略以下「10人いたら、10人の心に残るような音楽をつくりたい」のくだりに志を感じます。亀田さん関係だと、東京事変の「落日」(click!)が好きなので、今日の画像はマキシ『修羅場』から。仕事が一段落したら、「ヒットの理由」*1読んでみたいな。

朝のリレー

もう7月なのですね。夜明けから朝に切り替わる頃の日差しが強い。暑くて目が覚める季節が近づいてきているかんじ。

カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
谷川俊太郎吉村和敏「朝のリレー」より

低血圧でほぼ一年中不眠症な自分でも、ちょっと朝を肯定したくなる。変わらず等しく訪れる朝の誠実さよ。